こんにちは!
中央歯科クリニック歯科助手の野杁です🌷
以前、当医院のブログでもお話ししたことのある根管治療について、さらに深堀していけたらと思います。
今回は根管治療の一番初めの治療の「抜髄」についてお話していきます。
【 抜髄とは? 】
歯の神経を抜くことを抜髄と呼びます。
一般的に歯の神経とは、歯髄のことを指します。
歯髄とは神経組織と血管で構成されており、以下のような役割を持っています。
・神経組織が噛む感覚や痛みを脳に伝える
・血管を通して歯に栄養や水分を供給する
歯髄に問題が起きた際に、歯から歯髄を抜く抜髄という治療を行う場合があります。
【 抜髄が必要な症状とは? 】
抜髄が必要な症状として、最も有名なものが歯髄炎です。歯髄に虫歯の菌が感染し、歯髄が炎症を起こして痛みを生じる、歯髄炎と呼ばれる状態になります。
歯髄炎による炎症は軽度なら正常な状態に回復できますが、進行具合によっては回復が難しい場合もあります。そうなると歯髄から菌を取り除くことは難しく、多くの場合で抜髄を行います。
もしも抜髄せずに歯髄を放置すると、歯髄の炎症が悪化して壊死し、細菌の温床となります。この状態をさらに放置すると、細菌があごの骨全体にまで感染拡大する場合もあるので、必ず治療を行うべきでしょう。
ここからは抜髄を行うメリット・デメリットについて見ていきましょう。
【 抜髄のメリット 】
- 感染拡大を防ぐ
抜髄の最も大きなメリットは、細菌に感染した歯髄を除去することで、感染拡大を防ぐことができる点です。
歯髄炎になった場合でも、歯髄が生きている間は、歯髄の細胞が持つ免疫機能により、細菌の増殖はある程度抑えられます。しかし歯髄が壊死して免疫機能が失われると、歯の根管内で細菌が爆発的に増殖します。
根管内で増殖した菌を放置すると、歯を支えているあごの骨にまで感染が広がり、根尖性歯周炎という病気に発展する場合も。ここまで進行すると、骨が溶けてしまったり、最悪抜歯する必要が出てきます。
歯髄が壊死する前に抜髄してしまうことで、根管内で菌が増殖することを防ぐことができるでしょう。
- 痛みがなくなる
抜髄することで、歯の痛覚がなくなるため、痛みがなくなります。
軽度の歯髄炎の場合、冷たい飲み物などの刺激で痛みが発生しますが、一時的なものですぐに収まることも多いです。これが重度になってくると、暖かい飲み物でも痛み出し、常時痛みが続くようになります。
そんな痛みからすぐに解放されるという点が、抜髄の大きなメリットです。
【抜髄のデメリット】
- 歯が死んで脆くなる
栄養の供給がなくなり、枯れ木のように脆くなってしまいます。
強い食いしばりや外部からの衝撃、硬いものを噛んだ際などに、健康な歯と比べて無髄歯は容易に歯が割れたり折れやすくなります。
- 歯が変色する場合がある
抜髄すると歯が茶色や黒色に変色してしまう場合があります。
原因としてはさまざまなことが考えられますが、抜髄で血管を失ったことで、歯の代謝能力が失われたことが挙げられます。代謝能力が失われると、歯の組織の変性物などが象牙細管と呼ばれる歯の内部を通る細い管に沈着し、時間と共に変色するのです。
このような原因で変色した歯は、外側からのブラッシングなどでは白くならず、専用の治療を受けなければいけません。
- 歯ぐきに痛みが出る場合がある
抜髄してからしばらく時間が経ったあと、歯茎に腫れや痛みが出る場合があります。
抜髄したことで空いた歯の中の空間に菌が感染し、その菌が歯茎に到達することで、歯茎の腫れや痛みを引き起こします。歯茎にまで菌が到達してしまった場合、再度治療が必要になりますが、抜髄よりも大掛かりな治療が必要になる場合もあります。
このように抜髄にはメリットもありますが、デメリットも多くあります。
「歯の神経は抜くべきか抜かないべきか」というと、極力抜かないほうが良いものと言えるでしょう。
もちろんどうしても抜髄せざるを得ない状況も多いですが、抜髄は最終手段と捉え、できるだけ健康な歯を維持できるようにしましょう。
日常的な口腔内のケアはもちろん、定期的な検診・お掃除をおすすめします🦷✨
いつでもお気軽にご相談下さい💫